<河童 その3>  
  河童・・・といえば、ある有名な漫画家さんが書いたお酒のコマーシャルの
何とも色っぽい河童を思い出すが、子供の頃の河童のイメージは違った。

二通りある。
愛嬌のある良い河童と、人を殺してしまうほど凶暴な河童・・・昔の大人は
そのように子供たちに教えた。

子供の夏の遊びは、海が無い所だった為、川で泳いだり、池で遊んだりだった。
今のようにクーラーのない時代の事だ。水を求めて子供たちは遊びまわる。
まず川では、中学生や小学生でも泳ぎの上手な者たちは、足の立たない深さの向こう岸まで自慢げに泳ぎ、少し泳げる子供たちは向こう岸に行けるようになるのを目標に頑張るのだ。
向こう岸まで泳げる子供たちは皆の憧れの的!
 私のように泳げない子供たちは、膝位の深さの所で水浴び、川の中に耳を入れて
小石をカチカチ叩き合わせて、その音を不思議がっていたものだ。
そして、そ〜と川の中に顔を入れて息を止め、水の中で目を開けて石ころを見る事が
出来た時は嬉しくて、会う人会う人に自慢して褒められた事が忘れられない
その頃の川には、カニやメダカなどいろいろの川魚がいた。
おじいさんは、川に竹で作った先の細くなった筒のような物を置いていた。
翌日取に行くと、カニがいっぱい入っているのだ。
湯がいて食べさせられた思い出も懐かしい。

この様に、子供たちが川や池で遊ぶので、河童の話は大人の知恵だったのでは
ないだとうか・・・
「あの池は河童のおって、こないだ(この前)もマッチャンが足をひっぱられおったとォ!近づかんほうがよか!」
「あってぇ!コバの山ン下の池でも 河童に引きずりこまれたげなぁ!」
〜と言う様に、子供が近づかないように、わざと子供の前で世間話のように聞かせていたものだった。
そして、「よかか!もし河童に会ったら、河童は力比べで相撲をとろうとするから、
その時は丁寧にお辞儀をしろ! そうすると河童もお辞儀をする。そしたら河童の頭の水がこぼれてお皿が乾いて弱くなるから・・・分かったな!必ずお辞儀をするんだぞ!」
これはユーモアのある河童の話だが、人と出会ったら挨拶をするようにとの教えでは
ないだろうか。
このようにして昔の大人たちは、危険な場所を生活の中で教えたのではないだろうか!